『Mother』のトルコ版タイトルは『ANNE』。

anneの真ん中に月明かりのようなoをいれた『anone』。

タイトルと同じ名の亜乃音さん。

ハリカと出会うまでは、義理の娘から母として認めてもらえず、寂しい思いでいた亜乃音の心にポッカリと空いていたもの。

幻影の様な、分身の様な亡き娘に助けられつつ、目の前にいる息子には母としても人としても認めてもらえないるい子の心持ち。

長い間、世間の闇を見つめ続けた弁護士・花房の心にも、何によっても埋めることのできない虚しい空洞があったでしょうし、報われない持本にも同様の思いがあったでしょう。


一方で、ハリカを捨てた両親の、いつの間にか欠落してしまった部分。

弟を置き去りにしてからの中世古が、直視することを拒み続けた部分。


誰かを自分のことの様に思いやったり育てたりする性(さが)を母性と呼ぶのなら、そんなものは幻想だと捨ててしまうのか、それとも求め続けたり、心の隅にとっておくのか。

人は夜空に月明かりを見るとき、誰かを思い、そんな自分の内面を見つめているのかもしれないと、ドラマの余韻の中で思いました。