ジャヴェールは、日本語の音で「邪」「蛇」って印象があるので、普通に読んだら誰でも嫌な人だと思うのかも。(笑)
で、的に不思議なのは、ジャヴェールのような末路は嫌だけれど、一方のジャン・ヴァルジャンのそれもやっぱり嫌だなぁと思うこと。
愛するコゼットに看取られたのだからメデタシメデタシ、とは誰も思わないでしょう。
というか、どちらの最後もG(ゼー)さん同様、なかなか普通ではそんな風にはなれないってこと。

『レ・ミゼラブル』は、哀れな人々と言う意味だそうですが、このお話に出てくるどの登場人物も、あらゆる悲惨さの中で天晴れに振る舞う人々ばかりで、そう言う作劇的な面白さに満ちているなぁと思った
テナルディエも彼なりの人格を極めていて、むしろ清々しいと言ったら言い過ぎかもしれませんが、嫌な道化役のままで最後まで良い人にはならずに終わったところが面白かったです。

かと言って、エポニーヌなどに顕著なのですが、原作ではそれほど健気な女性には描かれていないことも意外な発見でした。
リアルといえばリアルな描写。
それでも彼女のような最後を迎える勇気は、やっぱり持てないだろう
ああ無情、と言うよりも、あらゆる感情が呼び覚まされる、驚きに満ちたお話だったと思います。

もしかしてもしかするとユーゴーは、登場人物たちのことではなく、読者、つまりこの世に生きとし生ける全ての(もしかすると自分自身も含めて?)「中途半端な」人間達に対して「哀れなるかな」と同情していたりして?

いえそうではなくて、神様を蔑ろにしない教育が普及することで、ずっとマシな世の中が来るはずだと希望を抱いていたのかもしれません。